へこまんは知らなかった。本を出すのにこんなにも金がかかるということを。 へこまんは宵越しの銭は持たぬ主義であった。故に自身の欲望を曝け出す為のの元手が全くなかった。 皆が皆、各々の欲をひたすらに書き留めている中、へこまんはすけぶをしていた。ただひたすらに馬鹿であった。